random-field系の遅い緩和ダイナミクス

空間秩序を形成する協力的な相互作用と、 秩序を妨げるランダムポテンシャルが拮抗する系において、 弱いが有限なランダムネスが、純粋系の持っていた長距離秩序を 壊すか否かという問題がある。

超伝導磁束格子、電荷密度波などの系において、十分弱い乱れに対しては Bragg glassと呼ばれる準長距離秩序相が存在することが 理論的な解析から予想されている。

しかし、解析的な研究では、トポロジカル欠陥が存在しないことを 仮定する必要があり、高温、あるいは乱れが強いときの無秩序相や、 そこと秩序相の間の相転移は議論できない。

さらに、熱平衡状態のモンテカルロシミュレーションなどによる この秩序相や相転移の直接的な確認も成功していない。

ここで困難なのは、緩和が非常に遅いため小さな系しか調べられないが 短いスケールではノンユニバーサルな振る舞いが強いという点である。

そのため、大きな系を調べることが可能な平衡緩和による臨界現象の解析が 有効と考えられるが、glassyな遅い時間緩和を示すため、 pure系でよく用いられる時間スケーリングはうまく機能しない。

今回はこのような遅い緩和を示す系での非平衡緩和を利用した 有限サイズスケーリングの試みについて報告する。

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