Introduction to stochastic energetics

近年の技術革新によって、たった一つの分子の挙動の制御、物理量の測定が可能になってきている。このようなサブミクロン程度のスケールでは分子は熱ゆらぎの影響を大きくうけ、測定量も大きくゆらぐ。熱ゆらぎの影響が端的に現れる現象としてBrown運動が、100年以上前から知られている。 Brown運動は溶液中の花粉の微粒子の動きから、生体内の分子モーターなど、熱ゆらぎが重要となるスケールでは普遍的に見られる現象である。

このBrown運動を記述するのがLangevin方程式である。ところで意外なことに、「ランダムにBrown運動する粒子はどの程度のエネルギーを熱源から受けているか」という問いは余り意識されることはなかった。今回はBrown運動する粒子と熱源とのエネルギー収支を表現する、「ゆらぎのエネルギー論」と呼ばれる方法を紹介し、それによりミクロな非平衡熱機関を解析したモデルを紹介する。

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