病気や情報の伝播を記述する数理モデルとして,
Susceptible-Infected-Recovered (SIR) modelが
良く知られている. これは各ノードがS, I, Rの3状態のいずれかをとる確率過程
のモデルである.
Iノード自身はある確率でRノードになり, また隣接するSノードをそのμ倍の確率
でIノードに変える.
一方で, 流行を表すモデルとして近年, このSIR modelを多状態に発展させたfad
modelが提案され
た. これはSとIの間に段階があると考え, 1つ状態を加えたものである.
このモデルは平均場近似において解析が為されていて, SIR modelと全く異なる
相転移を示すこ
とがわかっている. 終状態 (時刻t→∞)でのRノードの割合をオーダーパラメータ
と見た場合, μ = μ_cで
SIR : 連続転移, fad : 不連続転移を示す. だが, 現実の複雑ネットワーク上で
どのような振る舞いを示すかは
まだわかっていない.
本研究では解析が比較的容易なrandom regular networkを用いてモンテカルロシ
ミュレーションを行ない,
SIR modelとfad modelの相転移を数値解析する. random regular networkは次数
(ノードから出るリンクの数)一定で
ランダムにノードを繋いで出来るネットワークである. このネットワークについ
て母関数を用いた解析を行なった結果によると,
次数4以上でfad modelの不連続転移が起こる.
よって, 次数3と次数6でモンテカルロシミュレーションを行ない, 結果を比較す
ると,
次数6のrandom regular networkについて不連続転移が確認出来た.
本講演ではその詳細について述べる.