superstatistics(重ね合わせ統計力学)の紹介

非平衡系で生じる複雑な状態には、異なるタイムスケールの複数のダイナミクスの重ね合わせによって表される場合がしばしばある。例えばBrown運動してる系に外部から適当な作用を与え続けることで、温度がBrown粒子の揺らぎよりも非常にゆっくりと揺らいでいるような場合には、Brown粒子は複雑な振る舞いを示すことが予想される。2003年にChristian Beckが考案したsuperstatistics(statistics of a statisticsの略)は、示強パラメータが非常にゆっくり揺らいでいるような非平衡定常状態に対するモデルを与えた。Brown運動の例の場合、「速い」Brown粒子の揺らぎの統計に「遅い」温度の揺らぎの統計を「重ね合わせる」、ように考える。今回の研究室セミナーでは、私が修士1年で取り組みたいテーマとしてこのsuperstatisticsを紹介する。

内容としてはまず歴史的背景として非加法統計力学、Couette-Taylor乱流などを紹介し、次にsuperstatisticsの構成、適用例、最近の話題、そして問題点などについて簡単に触れる。およそ3時間強を予定している。

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