クラスター性をもつネットワーク上における情報のカスケード現象

ごく少数の人間から友人関係などを通して連鎖的に情報が多くの人に伝わっていく現象を 『情報のカスケード』と呼ぶ。この現象の発生メカニズムを明らかにするために、 Wattsは複雑ネットワークを用いた理論モデルを構築した[1]。 [1] では、モデル上で系全体に広がる大規模なカスケードが発生することが確認され、 その発生条件などが解析的に明らかになった。また、近年Gleeson らにより同じ現象を 一般的に取り扱う手法が提唱された[2]。しかしながら、これらの先行研究においては 下部構造にノードの局所密集度を持たないネットワークを用いている。 これは、現実世界に存在するネットワークの性質が適切に再現されているとは言えない。 そこで今回我々は、ノードの局所密集度を考慮した拡張モデルを構築し、ノードの局所密集度が カスケードの振る舞いに大きく影響を与えることを示した。詳細を報告する。

[1]D. J. Watts, PNAS 99 5766(2002)

[2]J. P. Gleeson and D. J. Cahalane, Phys. Rev. E 75 056103(2007)

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