SGMの示す『記憶』

外部から加えられた歪みに対し、 粘弾性や流動性等を示す『ソフト』な性質と、その応力が遅い緩和を示す『ガラ ス的』な性質を併せ持った物質を、 一般にSGM(Soft Glassy Materials)と呼ぶ。高濃度のエマルションやペースト状 の物質、そして泡など、 身の回りに存在する数多くの物質がSGMに属するため、その動力学を解析する意 義は高い。 このSGMの振舞を明らかにすることを目的としたモデルに、過去Sollichの提唱し たSGR(Soft Glassy Rheology)モデルがある[1]。 我々は、今回、このSGRモデルを使用し、 系にずりを負荷した時間によって、系の振舞にどのような違いが生じるのかを調 査した。 その結果、ずりを負荷した時間が長いほど、応力の緩和が遅くなるような結果 (記憶効果)が示された。 詳細を報告する。

[1] P. Sollich, Phys. Rev. E 58 (1998) 738-759.

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