階層ネットワーク上のパーコレーションと臨界相

ある種の構造を持ったネットワークでは、秩序相と無秩序相の間に、ある幅を持った区間で臨界的な振る舞いを示すような臨界相が現れると示唆されており[1]、Decorated(2,2)-flowerと呼ばれる階層ネットワーク上のボンド・パーコレーション現象[2]でも臨界相の存在が確認されている[3][4]。我々は、母関数による解析を用いて臨界相の振る舞いについて調べた結果、そこではクラスター数密度がべき的な振る舞いを示す事や、臨界指数が相内で連続的に変化する事などを発見した[5]。さらに、ボンド・パーコーションに対する母関数の議論はボンド-サイト・パーコレーションに拡張でき、サイトの除去プロセスを導入すると相図が劇的に変化する事が分かった。今まで秩序相であった領域が全て臨界相になったり、うまくパラメータを調整すれば2種類の臨界相が現れ、臨界相間の転移なども見られる。この様な特殊な転移を含めたDecorated(2,2)-flower上パーコレーションの全体像について外観し、そこでの物理量の振る舞いや取扱い方について説明する。

[1] T. Nogawa and T. Hasegawa, J. Phys. A: jMath. Theor. 42 145001 (2009).
[2] H. D. Rozenfeld and D. ben-Avraham, Phys. Rev. E 75, 061102 (2007).
[3] A. N. Berker, M. Hinczewski and R. R. Netz, Phys. Rev. E 80, 041118 (2009).
[4] S. Boettcher, J. L. Cook and R. M. Ziff, Phys. Rev. E 80, 041115 (2009).
[5] T. Hasegawa, M. Sato and K. Nemoto, Phys. Rev. E 82, 046101 (2010).

戻る