力学の観点から細胞運動を議論する

3次元環境下で細胞や細胞集団が器官のような特徴的な形を形成するためには、個々の細胞がランダムウォークするのではなく何らかの規則によって運動することが大切です。我々の研究グループでは、「細胞−基質間」、「細胞−細胞間」の力学場測定を通じて、2次元や3次元での細胞集団による形態形成のメカニズム解明を目的としています。
最初に2次元上と3次元中で力を出しながら移動する細胞の力を測定する方法を紹介します。蛍光標識した細胞外マトリクスをゲル化させ、ゲル上(2次元)もしくはゲル内(3次元)に細胞を培養し、細胞が運動する様子をタイムラプス観察します。得られた一連の画像から、細胞がゲルに対して発生させた変形を評価します。さらに、細胞集団が2次元ゲル上を運動する際におけるゲルの変形の空間分布を測定することで、ゲルに発生させた変形と細胞の運動方向との対応について議論します。さらに、生体内での3次元器官形成機構を明らかにするために、ゼブラフィッシュの胚を用いた取り組みについても紹介します。

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