ネットワーク上の資源拡散とネットワーク構造の共進化

現代社会を取り巻くネットワークのダイナミクスは、そのネットワーク上で行われるダイナミクスと密接に関連していると考えられる。 そこで、私は重み付きネットワーク上で資源量を決定論的に資源拡散を行う青木・青柳モデル[1]に、ローカル情報による非作為的な確率論的なリンクの繋ぎ替えを加えた、ネットワーク・トポロジーとネットワーク上での資源拡散ダイナミクスが共進化するネットワークモデルを考案した。 数値シミュレーションの結果、資源拡散ダイナミクスにおける拡散係数と消失率のパラメータ領域において大きく3種類のネットワーク・トポロジーを形成することを確認した。拡散係数に対して消失率が相対的に大きい場合は一つのノードが最大の次数を示して残りのノードは平均次数付近に分布する相となり、小さい場合は数個のノードが高い次数を示し残りのノードは同様に平均次数付近に分布する相となった。そして、その間の相においては資源拡散による効果と消失項による効果が競合することにより緩和時間が長くなり、次数と資源量の両方がスケール・フリー性を示した。 修士論文発表会では次数分布にのみ注目したが、本発表ではそれに加えてこのモデルにおける資源拡散やリワイアリングの効果についても報告する。

[1] Scale-Free Structures Emerging from Co-Evolution of a Network and the Distribution of a Diffusive Resource on It, Takaaki AOKI and Toshio AOYAGI, Physical Review Letters, vol.109, 208702 (2012).

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