結合・振動数相関を持つ蔵本モデルの双安定現象に関する理論的解析

これまで,蔵本モデルを始めとした振動子モデルにおける結合強度に対して定常解が一意に定まる単安定な転移
現象は理論的に解明されてきた[1].近年,同じ結合強度であっても初期値に応じて安定な解が複数存在する転移
がいくつかの振動子モデルおよび複数のネットワーク上の蔵本モデルにおいて生じることも報告されている[2,3].こ
のような現象が発見された背景には,ネットワーク科学の発達およびOtt-Antonsen仮説と呼ばれる新たな解析手
法の提案[4]が挙げられる.
我々は,自然振動数分布の双峰性およびネットワークの結合と自然振動数分布との相関を取り入れたモデルを理
論的に解析した[5].本セミナーでは,先行研究を交えながら本研究における解析手法の紹介および解析結果を報
告する.また,得られた結果から自然振動数分布の双峰性および結合・振動数相関が双安定性に及ぼす影響につ
いて議論する.

[1] Y. Kuramoto, "Chemical oscillations, waves, and turbulence." (1984).
[2] J. Gómez-Gardeñes et al., Phys. Rev. Lett., 106, 128701 (2011).
[3] E. A. Martens et al., Phys. Rev. E, 79, 026204 (2009).
[4] E. Ott and T. M. Antonsen, Chaos, 18, 3 (2008).
[5] 長崎俊紀,徳田悟,根本幸児,岡田真人, 日本物理学会 14pAH-15 (2016年秋季大会)

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